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16世紀にスペインに渡った日本の 漆の器
”発見された桃山の Japan”  知られざる在外秘宝
漆の木

うるしは、ヨーロッパではとれない!!  と知人から聞くに及び、目から鱗。 

近年スペインの教会や修道院で、日本で作られた華麗な漆の箱が次々と発見されているとのニュースが流れた。
箱は、はるか400年以上前、海を渡ったスペイン人が、天下人の信長や秀吉と出会い、彼らが愛する漆に魅せられたことから生まれたとも考えられ、またフランス革命でギロチンに消えた王妃マリー・アントワネットが最期まで守り抜こうとした黄金の漆器などヨーロッパの人を魅了してきた漆の壮大な歴史の物語といったところか。

少し漆器について整理してみた。
マドリード大学付属歴史図書館に残されている古文書(1580年ごろ)(Arca Bordada de Oro y Perla)に既に記述されているそうだ。 なんとスペイン全土23ヶ所に70点以上漆器が発見されている。
・Pedroso村のサン・サルバドール教会 15C 建築。 ※1年に1回だけ人の目に触れる。
・マドリードの デスカルサス-レアレス修道院
・メディーナ・デル・カンポの  サン・アンドリン教会

元をただせば、イエズス会の宣教師が日本に来て、虜になり、布教の道具として使われたと聞く。
王立修道院にある漆器は、聖遺物、即ち奇跡を起こす力があると信じられていて、中におさめる聖人にふさわしい芸術性・気品・美しさを兼ね備えた入れ物/箱 ということのよう。
その後、17〜18世紀に王侯貴族にも広まり、例えばマリーアントワネットも生涯の宝と重用し、ベルサイユ宮殿の小部屋には、 技と贅を尽くした漆器コレクションとして今も保存されている。


桜、 萩、キキョウ、椿の文様など様々。ひとつ作るのに1年以上の年月を要す。

ペドロソ村 サンサルバドール教会(parroquia de San Salvador    15C)


Descalzas Reales,  Madrid  デスカルサス レアレス修道院







La Granja宮の部屋 →中央下部に漆器



漆器に用いられる技法
蒔絵(まきえ): 蒔絵筆によって漆で模様を描き、その漆が乾かないうちに金粉や銀粉をまき、研ぎ出しや磨きを行うことで模様を作り上げる。平蒔絵、研出蒔絵、高蒔絵などの技法がある。日本独自の技法。
螺鈿(らでん):アワビや夜光貝の貝殻を薄く研磨したものを漆の表面にはめ込む。貝殻の真珠質が見る角度によって青や白など、様々な輝きをみせる。
職人尽絵 =職人作業風景

蒔絵(=漆工芸)は、
 日本に於ける最初の輸出産業品として大航海時代のヨーロッパに紹介、
 為替や貨幣が確立されていない時代の世界貿易の交換品(物々交換)として、
 交換され世界へ流通していく。
 オリジナリティの高い日本の精密細工技術は、
 大航海時代以後のヨーロッパでも変わらず高く評価され
 “日本の産業技術に対する高い信頼と評価は、
 その後の、
 世界の工場としての日本の未来を暗示していた” 
 のかも知れない。
 情報のない当時(桃山〜明治)の国際社会の中で、
 地名や人種としての日本(Japan)に対する認識よりも、
 中国(China=チャイナ)の陶器同様に、
 西欧人にとっての輸入産業品(としての日本の技術)こそが、
 Japan(Japan-Work) であったと推測することも容易。


参考>南蛮屏風