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マドリード下町の一日  【以前JAL関連誌に掲載された記事】

取り澄ました目抜き通りより、
生き生きした顔のある“下町”に
どうしても足が向いてしまう。

<本当のマドリッドの魅力を知ろうと思ったら、下町を歩いてみることだね。> マドリッド暮らしを始めてまだ間も無いころ、会う人ごとにこう言われました。マドリッドに来た人は誰でもまず、一流の商店、デパートが並ぶ“銀座通り”、グラン・ビアとかセラーノ通りの瀟洒なビルの景観に目を奪われます。

しかし、そのグラン・ビアから横道を南へ約10分、プエルタ・デル・ソルを過ぎ、マヨール通りまでくると、街の様相も行き交う人々もすっかり変わっているのにあなたは気が付くはずです。取り澄ました通りの表情に変わって、溌剌とした人懐っこい庶民の顔がそこにある。今あなたは、マドリッドっ子の誰もがすすめる庶民のまち、下町の入り口に立っているのです。

マヨール通りから旧市街まで、この下町を中心に、暮らしの中でみつけた楽しみを、1日の時間に沿ってご紹介しましょう。


14:00 “下町”歩きは、シェスタの時間にはじまる


午後1〜2時から午後4時頃までは、スペイン人は長い昼休み。人々は、食事に自宅へ帰り、シェスタをとります。私が趣味で、スペインのクラシック家具を見て歩いたのは、街に静寂が訪れるこの時間です。 まず、マヨール広場界隈のバール(日本のバーではありません)で腹ごしらえ。ここでの昼のメニューは、ボカディージョ(バケットにサラミ、ハムなどを詰めたスペイン風サンドイッチ)が中心。値段も安く、特に若い人には、レストランでヘビーな昼食をもてあますよりずっと賢明です。

さて当時、お目当ての家具屋は、マヨール通りの、左に曲がればすぐマヨール広場という角に一軒。更にこの先には、スペインの古いスタイルのドアの取っ手を売る珍しい店もありました。そして、マヨール広場を通り抜け、南西の角の出入り口の石段を降りて旧市街へというのが、コースです。

旧市街のDe la Cueva Bajoは、昔のスペインの職人気質の残った通り。家具屋だけでなく、酒樽や陶器、藤の小物、ふいご等等の工房兼卸の店が並んでいて、いつ来ても飽きることがありません。まずは、他でスペインにどんなものがあり、平均相場は、どのくらいか見当をつけ、目を養った後、下町で探すようにすると、ショッピングは、一層楽しくなるのです。


16:00  夕日を眺める。夜に備えて昼寝をする。マドリッドの一日は、まだ長い


目的がなくてもぶらぶら散策する。マドリッドは散歩コースがいくつもあります。マドリッドっ子に人気があるのが、オエステ公園の中にある通称“エジプト公園”(デボ寺院周辺。エジプト風の建造物があるのでこの名がある)。ここはマドリッド新市街の全景が望め、山に沈む夕陽がきれいに見えるデート・コースでもあります。

また、プラド美術館での感動の余韻を楽しむなら、近くのレティロ公園へ。ボートを楽しむもよし、木陰のベンチで昼寝をするのもまたいいでしょう。その分を取り戻すには充分過ぎるほど、マドリッドの夜には、楽しみがあります。

18:00 ラテンの本場でフォルクローレを堪能

マヨール広場の界隈には、中南米の人たちが集まって自国の歌を唄っているのをよく見かけます。こうした街頭パフォーマンスも楽しみの一つだ。スペイン広場近くのフォルクローレ専門店には、よく通いました。こういったお店情報は、街のキオスクのスタンドで “GUIA DE OCIO”(週刊の催し物案内)を買って、ホテルのフロントで聞けば、親切に教えてもらえるでしょう。


20:00 マドリッドの夜の部は、タパスで始まる


スペインの夕食(セナ)は、8時過ぎ、時に9時過ぎ、それまでのひとときを、マドリっ子たちは、バールでタパス(つまみ)を食べながら酒を飲んで過ごします。

タパスは、オリーブ、子えび、タコなど一品が小さな皿に入ったもの。カウンターの横のウィンドウに並べられていますから、言葉がわからなくても、欲しいものを指差して(これこそ万国共通のランゲッジ)一つとやれば出してくれます。

プエルタ・デル・ソルとそれに続くマヨール広場の界隈には、タパスのおいしい店が集まっていて、何軒かはしごすれば、日本人なら夕食抜きでも十分腹一杯になってしまいます。24:00 “スペイン人は一日を2日にすごす”という言葉が嘘ではないと分かっている

プエルタ・デル・ソルの前の大時計が零時を告げると、街の活気は衰えるどころか一層熱を帯びてきます。なかでも賑やかなのがメソン(居酒屋)。要は、食べて飲んで踊れる場所です。ギターの弾き語りが聞け、それに合わせて歌い、また店によっては、フラメンコ小ショーが見られます。マヨール広場の裏の階段を下りたところにあるArco de Chuchillerosは、外国人観光客にとっては、こうしたメソンのメッカであります。

フラメンコは、タブラオ(食事もできるカフェ・キャバレーとでもいいましょうか)で観られます。以前は、カフェ・デ・チニータスあたりは、スペインでも指折りのギタリストが出演するので有名でした。ただし、タブラオはたいてい23時過ぎから始まり、プリマドンナが登場するのは午前1時過頃。もちろんパッケージでディナー付きで入る場合は、早く入店することになる。

フラメンコを堪能するにはなによりもタフでなければいけません。


 5:00 熱いチョコラッテで楽しかった一日の思い出が蘇る

フラメンコなどの夜遊びの帰り道、お腹がすいてきたら、チョコラッテ(ココアを溶かした熱い飲み物とお考えください)を飲みに行きましょう。

プエルタ・デル・ソル広場の前にあるチョコラッテリア(チョコラッテの専門店)は、この時間なのにまだ賑わっています。チューロス(細い揚げパン)をチョコラッテを浸して食べ、ひとしきり語らううちに、長く楽しかったマドリッドの夜も、白々明けはじめています。蛇足ながら、前述のチューロス、日本でもときたま賞味できますが、さすが本場物の味をだしているところは、皆無といっていいでしょう。


日曜日の特別な楽しみ  10:00― 14:00

ラストロ (蚤の市)

日曜日には、なにをおいても蚤の市を見にいきましょう。朝の10時ごろから午後2時頃まで、リベラ・デ・クルティドーレス通りの200mほどの坂道には、白いキャンバス地の屋根をつけた仮設の露店がびっしり並ぶ。これがラストロです。売っているものは、実に種々雑多。手作りのものが多いのもスペインの蚤の市の特色です。アンティックから小動物、スーベニア雑貨まで、人をかき分けながらの半日です。のぞいて気に入ったものがあれば、ほとんどの店が値札をつけていませんから、”Cuanto?”(クワント?)と尋ねます。あとは筆談でもいいのですが、観光客だと必ず足元を見ますから、できれば数字くらい覚えておくといいでしょう。値引き交渉は、あなたの目の確かさと度胸次第です。

ラストロのもうひとつの楽しみは、集まってくる人めあての大道芸人たち。ジプシーの芸、似顔絵描き、音楽バンド、これはさながら、町角の小さなショーです。

ラストロの行き帰りには、近くの旧市街へ足をのばしてみることをお勧めします。

狭く入り組んだ道と剥げ落ちた壁、どこからともなく聞こえる音楽の調べ。ふと視線を上げると、装飾が施された鉄の窓格子(このアイアン・ワークは、スペイン各地で目に留まります。)の前にさりげなく、テラコッタの鉢に入れられた花が置かれています。

ゴヤの時代の ”古き良きマドリッド”が、今もそこには存在しているのです。