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[言語の不思議]

国際化が叫ばれて久しいが、思うように捗らないのが 国際化ではないでしょうか。 近頃、海外渡航する人の数を見ても、かつての勢いがない。娯楽・嗜好の多様化、景気循環などその他の要因に左右されるとはいえ、どうも 内向きになっているような気がするのは私だけでしょうか。
一方、私がかつてパウダースノウを求めてスキーを担ぎながら一人旅をした北海道のニセコ (近頃では白馬まで拡散の気配)に、オーストラリアからわんさか人が押し寄せ、台湾からは、”近くて清潔で治安が良く、食事・温泉最高!”と、100万をはるかに上回る人が日本を駆け抜ける。 台湾は以前から親日的な国ではあるが、空前の日本語学習熱に沸く。ここ10年で、日本語能力試験受験者が10倍になり、人口比では世界一。
また、アラブ首長国連邦からは、言語そのものというより、しつけなど「日本流教育」に関心が高く、日本人学校に多額の寄付の申し出があったそうだ。ここでも、日本のある官庁の幹部が (日本人学校ひとつとっても)、出遅れ感が否めない とコメント していた・・・ 出遅れ感が否めない では、なく、出遅れているが 正解であろう。つまり現状認識が甘いということ。でも、マレーシアから発信された ルックイーストが死語になった今、中東で日本への関心高しというニュース、ありがたいですね。
福祉・介護の分野でも、随分前からパイオニアになるのであれば、まずは、フィリピンからと予測していたのが 例によってもたもた先送りしているうちに、インドネシアのほうが先行して日本に来るようだ。 既に外国人ヘルパーの受け入れ実績がある、中東でも、台湾でも、東南アジアでも、言葉は壁になっている。いずれにせよ、島国日本の中で考えている以上に速い速度で世界は変わっていく。

そこで、人と人を繋ぐコミュニケーションの手段が言語であるということから、また、人と人の間に生まれ、社会を作る基盤とも言われる言語を介して、様々な角度から、世界に触れてみることにしましょう。


比較言語
比較言語の本を昔読んだとき、フィンランド語や、ハンガリー語との類似性が述べられていたことを思い出す。時の流れと共に、様々な環境要因によって、変化するのも言語の特徴である。

・アルジェリア の綴りの怪
英語ではAlgeria 、フランス語でも、Algerie、ドイツ語ではAlgerien、しか〜し、スペイン語では、Argelia と、見事に、LとRがひっくり返ってる。これを発見したときは、正直、ギネスものではないかと思った。 つまり、欧米系の言語で同じ地名などを書くとき、このように逆転する例は余り他にないのではと思う。

・なるほど マクドナルド
MacDonald ときに Macdonald M'Donald と変幻自在。 Mc Mc- M' いずれも、"son of " の意味ですね。O'サリバンの O'、 FitzジェラルドのFitz も同様。
また、--son のように、末尾に付く場合も同様である。 例えば、ジョンソンとかウィルソン とかのように。これらを、父称姓と言い、接尾辞、または接頭辞として使われる。デンマークでは−sen と付くのも同様で、たとえばアンデルセンがそうであり、ドイツでは−sohnの場合がそれに該当し、たとえばメンデルスゾーン。


・固有名詞の怪
アジア→パクさんは、 なぜ、Park パーク=公園 になってしまうんでしょう? 未だに疑問。
    浅田真央と同じ年の韓国のキム・ナ-ヨン選手、TVの画面に出ている名前は、なぜ young と書く?
欧米か→ かつて私は ある有名な公園の二軒隣に居を構えていた。 その公園は、ステファン’ズ パークと書く、が、発音は スティーブンスパークだった。なんでやねん。ステファン寺院という名所もあるぐらいなのに。
英国で活躍する北欧出身のサッカー選手、リュンベリ(Ljungberg)、またテニスの世界でもエドバーグと書いてエドベリ。いまひとつぴんと来ない。映画の往年のスター、イングリッド・バーグマンはそのままだけどね。 なんでバーグ/ベルグ と、ならないのか摩訶不思議。
ポルトガル人の名前や地名の L。 これがUの発音になる。西欧言語の中でLをこのように発音する言語は他にない。日系人も多い、大都市サンパウロ、Sao Paulo と書くが、なぜ 「サン」なのに ポルトガル語だけ o が n の代わりを成すのかわからん。 また、ポルトガル語は平均的にトーンが高い気がする。

・バスクの怪
独特の文化と風俗を持つと言われる バスク。
紀元前210年、ピレネー山脈の東端からイベリアに侵入したバスク人。ローマの文献は、バスクの人たちを、Vascones の名で呼び、その住地を、Vasconia と呼んだ。ピレネー山脈の両端、フランス・スペインにまたがって存在する小言語、バスク語は、古今に渡って周囲の言語、つまり印欧諸語とは本質的に異なる、孤立言語であるということにかつて興味を持った覚えがある。
バスク人と聞くと、よく耳にする姓に、例えば、Goikoechea があるが、goiko は、形容詞で ”高い”、eche は、”家”、-aは、接尾的な定冠詞とのことである。
日本史上、いわゆる南蛮時代、渡来して布教をした有名な、フランシスコ・ザビエル (Xavier) <スペイン語読みでは ハビエル)の名も、元はバスク語の、Eche-berri  (berri は、”新しい”の意) の訛りだそうである。

※因みに フランシスコ・ザビエルは ナバーラ州出身で、ナバーラ州にはバスク人もかなりいて、ナバーラをバスクに含める人と、含めない人、ともにある。
ザビエルはキリスト教布教で有名ですが、実はもうひとつ日本に大きく影響を与えた。少しエピソードをお話しすると、それは上智大学の設立。当時のローマ教皇ピオ10世の命を受け、イエズス会によって創立されたのですが、その根源は16世紀に誕生したイエズス会の創立メンバーのひとり、聖フランシスコ・ザビエル(スペイン人)の志に遡る。1549年に来日したザビエルは、日本人が知的好奇心を持ち、理性的で道徳性も高いことに感銘を受け、「ミヤコに大学」を設けて、東西の文化・思想・宗教的交流の一大拠点にする構想を立てたことに始まる。

今でもバスク語と言えば、すぐ思い出す文章は、 Nafaroa Euskadi da.  (ナバーラ は、 バスク だ。)
動詞 da が、末尾に来ている上に、発音が まさしく同じ。 
かつては、鼻に特徴有りとか、 血液型にRHマイナス が多いとか言われていたが、長い歴史の中での人種間の混血化、食べ物、気候etc. によって、失われていくようだ。ガラパゴスの動植物の移り変わりもある意味、同じことが言えるかもしれない。私が半月ほど滞在したことがある、小笠原諸島も悲しいかな後を追っている。
話題は変わって、バスクの印象は、雨多く、緑多く、人々は、勤勉、そして誇り高い。
ピレネーの麓、自然に恵まれた、バスク、日本ではその独特な伝統ばかりがTVに取り上げられがちだが、一度足を運んでみる価値あり。

・インドネシアの地名の怪
インドネシアのある観光地の発音  このある地名を口に出すと、顔が赤くなってしまう。 拠って、ここにも書けない 地名の単語がある。放送禁止用語ではありませんが。

・そば が取り持つ縁
信州そば海を渡る。北スペイン・カンタブリア州でのお話。きっかけは、現地で催された日本・スペインの文化交流イベントで、そばを振る舞おうと松本市の人々が種を撒いたことから始まる。その過程のなかで、ある偶然に遭遇。州都、サンタンデールのすぐ近くに、なんと、SOBA という村があった。Soba村(フェスティバルにはそば村の村長さんがそば切りに挑戦)も含め、前述カンタブリア州と日本の信州の温かい交流の芽が生まれたとさ。

・最近ありとあらゆる国際機関の統計で上位を占め、日本から視察殺到のフィンランド
ここでもおもしろい同音異義語があるんですね〜。”シカ”は豚を意味し、”カニ”は小さなウサギ、”スシ”は狼、”クルクルパ”は通行証を意味するそうだ。
他にもアフリカのルワンダでは、”唐辛子”のことを、「ウルセエンダ」と呼ぶそうだ。

こんな風にみていくと、そうだ、スペイン語でも、最初の頃、笑っちゃったのが、 ”あほ”= ニンニク とか、 ”ばーか”=雌牛 でしょうか。


・外来語
外来語研究においては、借用時点の先着性という点はありますが、まあ、大雑把に言えば、古くは、タバコ、カッパ、パン、カルタなどが スペイン語・ポルトガル語系から普及、そして定着してきた。逆に日本からは、Shiatsu 指圧、bonsai 盆栽, Fuji-Yama 富士山, geisha 芸者, haiku 俳句, harakiri 腹切り, ikebana 生け花, judo 柔道, kabuki 歌舞伎, kamikaze 神風, karate 空手, kimono 着物, sake 酒, shogun 将軍, samurai 侍, などが国外に出て行きました。 スマトラ沖大地震で更に有名になった tsunami 津波 もそうですね。 忘れちゃいけません、Karaoke カラオケもそうだし、 スペインのマーケットで 柿を発見したとき、 なんて発音すれば通じるのだろうと思った 柿は、そのまま ”kaki" で良かったんですよね。
日本の伝統、芸能、武道、サブカルチャーなど以外にも、今後ますます増えていくのではないでしょうか。

次に、例えば、車のネーミングを見てみると、多いこと、多いこと。 スペイン語から入ってきた言葉だけ見ても、バモス、クレスタ、セリカ、ファミリア、ドミンゴ、アバンテ、エスクード、グランデ、セフィーロ、シーマ、シエンタなどなど。少しアクセントの位置などが変わってますが、セリカ、セフィーロなど。車関係だけでなく、昨今は美容ケアー関連でも増加の一途。例えば、藤原紀香のシエロ(CIELO) も同じくスペイン語から。

・言語の話ではないのですが、近頃、世界における日本の存在感が薄くなっているとよく言われます。 海外における日本の存在感を、日本ブームという視点で見てみると、例えば、スペインでの日本ブームといえば、すしや”マンガ”にとどまらず、剣道や書道の人気も上昇中と聞いているし、 例えば、フランスでは、”禅”の精神もよく知られており、フランス人の生活にすっかり定着しているようですね。家具や食器のシリーズが「Zen Style」と名付けられたり、仏の新幹線TGVでは、携帯の使用や12歳未満の子供とペットの乗車が制限される「Zen車両」もあるとか。また、Zen には穏やか、くつろぎ、静寂という意義があることから、興奮している人に、「Soyez zen! 落ち着いて!」なんていう意味で使用されるまでに、フランス人のライフスタイルに浸透してきているよう。まさに旬な言葉と言えそうです。

・映画の世界でも、近年、多言語をからめての製作が増えてきたような気がする。 もちろん、マーケティング上のこともあるのだが、登場人物の名前から、字幕も含め、ちょこっと 他言語を挿入、なんてケースも多く見られる。 ”時代は変わる”と いうことですね。

・スペイン語でつながる世界
約5億人が話す言語といわれている。
※公用語として、
スペイン,メキシコ,グアテマラ,ホンジュラス,エルサルバドル,ニカラグア,コスタリカ,パナマ,キューバ,ドミニカ共和国,コロンビア,ベネズエラ,エクアドル,ペルー,ボリビア,チリ,アルゼンチン,ウルグアイ,パラグアイ, 赤道ギニア(計20ヵ国)
※非独立の地域:プエルトリコ(米領,英語とスペイン語が公用語)
※独立国のアンドラ(公用語はカタルーニャ語とフランス語だが,住民の半数はスペイン語話者) アンドラではスペイン語だけで充分であった。
※少数言語として用いられている国:アメリカ合衆国,ジブラルタル(英領,公用語は英語だが,住民の大部分はスペイン語話者),モロッコ,フィリピン
 公用語とまではいかないが、日常的に使われている国として、アメリカは最たる国でしょう。ブラジルはスペイン語圏に囲まれているという地理的環境からスペイン語がかなり通じると聞いている。日本からだと、東海岸ではニューヨーク、西海岸ではロサンゼルス(またはサンフランシスコ)から入る方が多いと思うが、いずれの地も、びっくりするほどスペイン語が日常化しているのに気づく。観光のメッカのひとつであるディズニーの本拠地フロリダも日本人に人気の地のひとつ、フロリダもまた、スペイン語が通じる。 歴史を遡れば、スペイン人 (インディアン、バイキングの説は別として)が最初に上陸した大陸という史実に帰するのか・・・。

・NHK教育テレビスペイン語講座に出演しているスペイン人に どこの国のスペイン語が最も聞き取りにくいか尋ねたことがある。 答えは、キューバ、 次いでメキシコとの返事が返ってきた。

・モンテネグロ
アドリア海に面しているので将来的にも発展の可能性大と思われる、人口60万の旧ユーゴの小国、モンテネグロ。モンテネグロの言葉をメディアで見るたび、スペインと全く接点がないはずなのに、なぜスペイン語と同じ?と思っていた。 黒い山という意味だが、昔昔、ラテン語から由来したようですね〜。

・トルコでは
トルコでは、1928年、文字表記をアルファベットにするという、文字改革を行なった結果、少なくともトルコにおいては、読んで、近いところまで発音できることに、ささやかな喜びを感じた。これがもしアラビア文字だったら・・・。 当時の大統領の将来を見据えた文字の変革は、大きな決断であったと思う。

・言語を操る脳
幼少時から2つの言語にさらされて育ったバイリンガル脳は2つの言語で同じ言語領域を使っているが、10歳以降に外国語は学んだ脳は別々の領域で活動し、幼い頃に英語を”獲得”した脳と、オトナになって”学習”した脳では決定的に違うそうだ。
この辺は ヒントになりそうである。

言語がどうあるべきか、固有の文化とのバランスは? 世界の片隅での悩みは尽きない。 が、インターネットの全地球的普及によって、好むと好まざるとに関わらず、言語は 変化する。 それもかつてない、スピードで。 昔、エスペラント語のことを聞いたとき、夢をかぶらせたことがある、が、理想どおりの普及には遠かった。

いつの日か、 言語のバリアー・フリー の時代が来るのでしょうか?


言葉は奥が深い。 更に各国の諺・格言、故事成語、有名人のせりふ、座右の銘 etc. まで探っていけば、いろいろな発見に出会うのではないかと推測できる。

まさしく言語の不思議かな。。。



★おまけ
カタルーニャの言語について